問題社員への対応法【2012年 第6回】

【2012年 第6回 問題社員への対応法】- 経営者のための社会保険・労務管理

菅野 美和子(スガノ ミワコ) ⇒プロフィール

経営者の悩みにはいろいろありますが、社員に関する様々な問題、労務管理については永遠の課題と言えるでしょう。前回は「労務管理のイロハ」についてお話しましたが、どれほどしっかり労務管理に取り組んでも、人にまつわる問題は起こります。さまざまな社員の問題に経営者としてどう対応するか、今回はその基本についてお話ししましょう。

「モンスター○○」

一時期「モンスター○○」という言葉がよく使われました。

学校や担任に対して常識をはずれた苦情をいう「モンスターペアレント」、病院に対して度の過ぎた要求をするなど、常識をはずれた行動を取る「モンスターペイシェント」。

そして会社に対し何かとクレームをつけてくる「モンスター社員」。

モンスターに定義はありませんが、常識をはずれた行動に対して使われる言葉のようです。

「モンスター社員」といっても、いろいろなタイプがあります。

苦情型、攻撃型、反抗型など、さまざまです。

苦情型の社員は、少しでも会社に不満があると、外部の機関(労働基準監督署など)や他者を使って会社に苦情を持ち込むことがあります。

自分の思い通りにいかないと、どなりつけたりするのが攻撃型です。パワハラ型といってもいいでしょう。

何かにつけて反抗し、「あの人と仕事をするのはいやだ」とまわりの社員から敬遠されるタイプもあります。

また、まわりのことをまったく考えずに、自分の権利ばかりを主張するといったタイプもあります。

そして特に困るのは、本人ではなく、親や配偶者が乗り込んでくるという親・配偶者介入型です。私も数件対応したことがあります。会社のみならず、顧問社労士へ苦情が来ることもあります。

本人と直接話をしたいといっても、配偶者や親が全面に出てくるのです。モンスター社員ではなく、モンスター家族といったほうがいいケースです。決してめずらしいことではありません。

また、モンスターとは言えなくても、問題行動をおこす社員もいます。

欠勤や遅刻が多いという勤怠不良型、協調性がなく職場でもめごとを続発するトラブル型、仕事中に私用メールをしたり、関係のないサイトを閲覧する勤務態度不良型など、様々なタイプがあります。

些細なことから、横領などの犯罪行為に至るまで、いろいろです。

問題社員への対応

問題社員への対応は、一筋縄ではいかないむずかしい問題ではありますが、まずは早目の行動が必要です。

経営者が問題だと感じたときに対応しておくことです。

最初に本質をしっかり見極めないといけません。何が問題なのか、何を注意しなければならないのか。

モンスター社員や問題社員のタイプによっても異なりますが、いずれにしても、イエローカードをそのつど出すということが基本です。

イエローカードを出すことによって、モンスター化がいっそうひどくなることあるでしょうけれど、それでも、イエローカードを出し続けます。

注意すべきことを注意したかということがあとで重要になります。あいまいにしていると問題は解決しません。

問題の解決法とは、まずは、適切にイエローカードを出すことです。

いきなりレッドカードを出すことはNG。レッドカードを出すときは、労働基準法に違反しないかどうか、検討しなければなりません。

問題があればその都度イエローカードを出しますが、常識はずれた苦情については、話はよく聞き、その上で、きっぱりとした態度を示すことです。できないことはできないとの毅然とした態度が必要です。

経営者とはつらい立場に立つこともしばしば。それを乗り越えて事業を成長させることで喜びも大きくなっていくのでしょう。

一番の問題は、問題があるのに問題に気がつかないことだと思います。

それでは、次回からは経営者の方に知っておきてほしい労働基準法などを、経営者の視点からお話ししていきます。

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