医療保険を考える(1)【2008年 第5回】

【2008年 第5回 医療保険を考える(1)】地域コラム 東海

松山 智彦(マツヤマ トモヒコ)⇒ プロフィール

 

 

 

 

 

 

生命保険の加入を検討するとき、みなさんはどのような考えを持っていましたか?
死亡保障の場合、一般的には「遺族の必要生活費-遺族年金等-貯蓄等」で必要保障額を求める事ができます。

これをベースに負担する保険料や老後生活費の確保など他のライフイベントを考慮して保険の種類(定期保険、終身保険、養老保険など)や特約(三大疾病特約、入院特約、傷害特約など)、死亡保険金などを決めます。

しかし、医療保険の場合、死亡保障のような目安になるものがありません。そこでリスクマネジメントの視点で医療保険を考えていきたいと思います。
医療保険は、病気、ケガなどにより入院した場合に「入院日額×入院日数」の保険給付を受けられます。但し、保険会社や商品によって「入院初日」「入院4日目から」など保険給付が受けられる条件が異なります。例えば3日で退院した場合、「入院初日」から出る医療保険だと保険給付が受けられるが、「入院4日目から」だと保険給付は受けられません。また「入院初日」の方は保険給付の発生する確率が高くなる分、保険料が高くなります。
もし入院日額を1万円としていた場合、合計3万円の入院給付を受ける事ができるかどうかの問題になります。

リスクマネジメントの考え方に、小さなリスクは”保有”し、大きなリスクは”移転”するというのがあります。保険加入の視点に置き換えると、保有は保険に加入しないで、自分の預貯金などで賄うことをいい、移転は少ない手数料で保険に加入して保険給付を受ける事を言います。
参考までに入院した場合の一日当たりの自己負担費用は15,200円(平成16年、生命保険文化センター調べ)です。3日入院すると45,600円。3万円の入院給付を受けた場合には、15,600円の負担で済みます。
3日入院したケースだと、3万円という保険給付を受けるために支払った保険料は、それに見合うものなかが問題といえます。
個人的には、短期入院に対しては、リスクマネジメントでいう”保有”して、その分を自由に使える預貯金にまわしたほうがよいと考えています。一般的に自由に使える預貯金の目安としては生活費の6ヶ月分と言われています。少なくとも3か月分の生活費は確保しておいた方が良いでしょう。
一方、長期入院や治療費が高額になる病気には保険を活用した方がよいと思います。ガン、心筋梗塞、脳疾患などの病気には多くの治療費が掛ります。これらはガン保険や特定疾病特約、長期入院特約などを付けて加入すると良いでしょう。

短期入院に備えた医療保険の加入については否定的な意見になりましたが、全てのケースが否定的ではありません。次回は、もう少し掘り下げて医療保険について考えてみたいと思います。

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