退職理由と雇用保険からの給付金【2016年 第1回】

【2016年 第1回 退職理由と雇用保険からの給付金】退職を考えたときに読むコラム

菅野 美和子(スガノ ミワコ)⇒ プロフィール

人生には何が起きるかわかりません。
希望して入った会社を辞めることもあります。
退職する前に考えておくべきことは、次の就職が決まるまで、どのようにやりくりして暮らしていくかということです。
失業中の生活の支えとなるのが雇用保険からの失業給付です。
失業給付には退職理由が密接に関係していますので、その仕組みをお話ししましょう。

失業給付の決め手は退職理由

退職後に雇用保険からの失業給付(基本手当)を受け取るには、原則として1年以上雇用保険に加入していることが条件となります。
途中で長期のお休みをすることなく、通常どおり1年以上勤めている(雇用保険に加入している)のであれば、基本手当を受け取る条件はあると考えていいでしょう。

ただし、ここで退職理由が関係します。
会社都合で退職した場合は雇用保険の加入期間が6ヵ月以上あれば基本手当を受ける条件を満たします。
会社都合とは解雇・倒産などですが、その他にも、労働条件の大きな相違や法律違反となるような長時間労働などがあったときは、自分で判断して退職したとしても、自己都合扱いとならないこともありますので、詳細はハローワークで相談してください。

1年未満で会社を辞めるとき、雇用保険から基本手当をもらえるか、もらえないかの決め手は、退職理由なのです。

退職理由が及ぼす影響

退職理由は基本手当の支給日数や支給開始時期にも影響があります。

雇用保険から基本手当を「何日分」受け取ることができるかは、退職理由によって決まります。
自己都合で退職した場合、20年以上雇用保険に加入している人で150日分。約5か月です。

会社都合で退職した場合は、年齢や雇用保険の加入年数によって、基本手当を受ける日数が決まっていますが、自己都合退職よりも手厚くなっています。

定年まで働く予定の会社が急に倒産してしまえば、何の準備をする暇もなく職を失うわけですので、給付日数を手厚くして、じっくり仕事を探せるように配慮しているのです。

退職後は誰にでも7日の待期期間があり、その間は基本手当を受け取れません。
そのあとすぐに基本手当を受け取れるか、さらに3ヵ月の給付制限期間があるかどうかは退職理由によります。
自己都合であれば3ヵ月間待ってからになります。

倒産や解雇ばかりではなく、自己都合であってもやむをえない理由がある場合、給付制限がないこともあります。
また、定年退職の場合は、給付制限はありません。

このように、どのような理由で退職したのかで、基本手当の受け取り方が決まります。
基本手当の額については、退職前6ヵ月間の賃金をもとにして計算され、退職理由による違いはありません。

離職票で確認を

社員が退職すると、会社はハローワークで離職票を発行するための手続きを行います。
離職票には退職理由を記載します。

ハローワークは書類を受け付けるときに、退職理由を確認する書類、たとえば自己都合退職であれば退職届、解雇であれば解雇通知書などを確認し、離職票を発行します。

そのあと、本人の手元へ離職票が届けられるのですが、自分で理解していた退職理由と異なることもあるでしょう。

退職理由に納得できない場合は、ハローワークで求職の申し込み(次の仕事探し)をするときに伝えてください。
ハローワークは調査をして、最終的にハローワークが決定します。

会社が解雇した人を自己都合退職とするのはもってのほかですが、自己都合で退職する人が会社都合にしてほしいと会社へ頼むのも、もってのほかです。

退職リスクに備える

夢を持って就職した会社であっても、自分に合わないこともあります。転職したほうがよいこともあるでしょう。

退職を考えるときは、次の仕事がみつかるまでの家計について、しっかり考えておきましょう。

自己都合退職の場合、どんなに急いで手続きしても、基本手当の初回振込みは4ヵ月半程度あと。
ですから、最低5か月分の生活費を「退職リスク」として備えておきたいですね。

雇用保険は退職リスクへの備えになりますが、雇用保険だけでは万全でないことも理解しておいてください。

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