後見人等に選任された後、どうするの?【2013年 第4回】

【2013年 第4回 後見人等に選任された後、どうするの?】成年後見人への道

三次 理加 ⇒プロフィール

 

家庭裁判所で成年後見(保佐・補助)人に選任された後、どのような仕事が待っているのでしょうか?
本稿では、選任後の事務と留意事項について、おおまかに紹介しましょう。

 

 

成年後見(保佐・補助)人選任後の事務と留意事項

成年後見・保佐・補助人(以下、後見人等と記述)に選任された後の事務は、以下の通り、大きく7つあります。
1)情報収集
後見人等が申し立て段階から関与していない場合には、家庭裁判所に申立事件記録の閲覧、謄写の許可を申請します。これにより、被後見・被保佐・被補助人(以下、被後見人等)の心身や生活の状況、財産状況等を把握します。
2)被後見(保佐・補助)人との面談
成年後見制度は、本人のための制度です。そのため、後見人等は本人の意向に沿った財産管理・身上監護を行うことが求められます。
後見人等に就任したら、被後見人等に面談に行き、自らが後見人等に就任したことを説明し、被後見人等の意向を確認し、信頼を得るよう努めましょう。また、被後見人等と意思疎通を図ることが難しい場合であっても、被後見人等がそのような状態にあることを確認し、被後見人にとってどのような事務が必要であるかを検討するようにしましょう。
3)関係者への連絡
後見人等に就任後、被後見人等を取り巻く関係者には、すみやかに訪問し就任の挨拶をしましょう。関係者には、申立人、同居(または近隣に住む)親族、これまで被後見人等の財産管理を行ってきた人のほか、被後見人が病院や施設に入院・入所している場合には、医療・施設関係者やケアマネージャーとも面談する必要があります。その際、入院・施設費の額や支払い方法、被後見人等の日常生活費の取り扱いや今後の連携方法について等、打ち合わせを行っておきましょう。
4)財産調査と財産目録、収支予定表の作成
後見人等は、就任後1ヶ月以内に被後見人等の財産目録を家庭裁判所に提出しなければなりません。そのため、後見人等選任の審判が確定した後は、すみやかに被後見人等の財産調査を行う必要があります。また、ほとんどの家庭裁判所では、財産目録と併せて支出予定表の提出を求められます。財産調査と併せて、生活費、療養看護費など、定期的に必要となる支出金額とその内訳を確認しておきましょう。
5)金融機関への届け出
被後見人名義の口座がある金融機関へ後見(保佐・補助)開始の審判が開始したことを届け出ると同時に、自らが後見人等に就任したことを知らせます。その際、後述する「登記事項証明書」を持参します。金融機関によって対応は異なりますが、後見人等と被後見人等との財産を区別するため、口座名義は、たとえば「被後見人氏名 成年後見人の氏名」のようになることもあります。なお、金融機関によっては、キャッシュカードが発行されないことがあります。

6)後見(保佐・補助)人であることの証明書取得

自らが後見人等であることを証明するのが「登記事項証明書」です。証明書は、東京法務局の後見登録課及び全国の法務局・地方法務局戸籍課の窓口に交付請求します。なお、郵送の場合には、申請書と添付書類、返信用封筒を同封し、東京法務局後見登録課宛てに請求します。
登記事項証明書の見本は、以下の法務局サイトをご覧ください。
http://houmukyoku.moj.go.jp/tokyo/static/shoumei_mihon.html
なお、請求方法について詳しくは、法務局サイト↓に記載されています。
http://www.moj.go.jp/MINJI/minji17.html#a25
7)管理財産の引き継ぎ
被後見人等、または被後見人等の財産を管理していた人から被後見人等の財産を引き継ぎ、管理します。

以上が選任直後の事務になります。後見人等の仕事の範囲は非常に広く、たとえば被後見人等が相続人となる相続が発生した場合、相続財産を調査し、相続承認するのか、放棄するのか等を被後見人に代わって決めることもあります。また、被後見人等が賃貸不動産物件を所有している場合、その賃貸業務を行うこともあります。どのような場合であっても、第2回で説明した「被後見人の意思、必要性、相当性」に照らして判断し、後見事務を行う必要があることをお忘れなく!

次回は、「後見終了について」です♪ お楽しみに。

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