年末調整のポイント 2箇所以上から給料を貰っている場合【2005年 第1回】

【2005年 第1回 】年末調整のポイント 2箇所以上から給料を貰っている場合  年末調整

松山 智彦⇒プロフィール

年末調整の季節

11月の職場では、年末調整向けの書類に記入、押印するシーンを目にします(または自宅に持ち帰って記入している方もおられます)。
書類には、扶養の対象となる家族を記載する「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」と、生命保険、損害保険や社会保険等の保険料控除の申告をする「給与所得者の保険料控除申告書」があります。
また、所得金額が38万円超76万円未満の方であれば、「配偶者特別控除申告書」も関係してきます。
(書類上はこれらの書類をあわせて「給与所得者の保険料控除申告書 兼 配偶者特別控除申告書」という名称です。ご注意ください)
さらに、住宅ローン控除を受けている方には、「給与所得者の住宅借入金等特別控除申告書」があります。(住宅ローン控除について、1年目は確定申告が必要になります。)

そもそも年末調整とは?

年末調整は、会社から源泉徴収されて所得税を納めた税金を精算する行為になります。
なぜならば、所得税などは、1年間の所得に対して課税されますが、サラリーマンの場合、12月の給料が確定するまで、1年間の所得金額が確定できません。
また保険料などの支払についても同様の事が言えます。
そこで源泉徴収義務のある会社は、1年間の所得と納税額を確定させ、既に納めている分と調整を行います。
源泉徴収額は多めに設定されているので、殆どのケースで年末調整時に還付されます。

意外と多い?!2箇所から給与を貰っている方

さて、サラリーマンの中には給料を2箇所以上から貰う方もおられます。
多い例では、自分はサラリーマン、親が自営業者で、親の会社の役員をしている場合があります。
2箇所以上から給料を貰っている場合の年末調整はどのようになるのでしょうか?

年末調整は主たる給与を支払う会社が行う

年末調整ができるのは2箇所以上の会社のうち、1箇所だけになります(これを「主たる給与」といいます)。
主たる給与の決定は、「給与所得者の扶養控除等申告書」を提出した会社になります。
では主たる給与でない会社からの精算はどのように行えばよいでしょうか?
その場合は、確定申告を行って精算する事になります。
但し、主たる給与所得および退職所得以外の所得が20万円以下の場合には、確定申告をしなくても構いません。
(今回は年末調整ですので給与所得のみの方を中心に解説してます)

所得控除額が主たる給与より多ければ?

また、主たる給与所得から控除してもまだ足りない所得控除がある場合は、どのようにすればいいでしょうか?
この場合、「従たる給与についての扶養控除等(異動)申告書」に従たる給与所得から控除する配偶者、又は扶養親族について記載し従たる給与の支払う会社に提出すれば、主たる給与所得の分から控除し切れなかった分が控除する事ができます。
但し、本年最後に支払う給与が従たる給与である場合はこの申告書が提出していても年末調整は行われません。

年末調整で還付されるお金って本当は自分のお金なのですが、なんとなく得した気分になりますね。

●(参考)給与所得者が確定申告を必要となる主なケース
・ 新たに住宅ローンを受けたい場合(2年目以降は年末調整で控除を受ける事ができる。)
・ 雑損控除・医療費控除・寄付金控除を受けたい場合
・ 給与所得が2000万円を超える人の場合(年末調整の対象外)

【2006年11月30日】
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