今と昔のお給料比較【2011年 第2回】

【2011年 第2回 今と昔のお給料比較】ウチの家計簿、武士の家計簿

西谷 由美子⇒ プロフィール

お城勤務の武士は、今でいう公務員で安定していたんじゃないでしょうか。それでは、お給料はどのくらい?

 

 

 

 

 

 

年が明けて、通常国会が始まりました。2011年度予算の審議なんですが、今年もまた「史上最多の赤字国債」。そういえば公務員の人件費2割削減って、マ ニフェストにありませんでしたっけ。「バッサリやっちゃうとその分、政府の借金は減るのでは」、なんて乱暴なことを言うわけにはいきませんが、家計を切り 盛りする身には「赤字」という言葉は恐怖ですよね。

現在は労働三権が制限されているかわりに身分保障は手厚い公務員=行政官僚。公務員って、江戸時代でいうとお城詰のお侍のことだと想像できます。

先月取り上げました「武士の家計簿」猪山家、猪山信之サン(配役:中村正俊)は知行70石、直之サン(配役:堺雅人)は切米40俵プラス拝領金8両というお給料だそうです。

ここらへんってよくわかりませんよね。そこで大胆に換算すると

米1合=150g、1升=10合、1斗=10升、米俵1俵=4斗(現在)、 1石=1俵

米俵1俵で60Kg、これは1人が1年に食べるお米の量と考えられています。ただし、明治より前の時代は、地域、時代によりこの量は変化しているそうです。が、ここは上記現代風に考えて、と。

ちなみに、知行70石というのは収入が70石ではなく、70石とれる土地からのお年貢を徴収する権利になりますので、加賀藩の猪山家の場合、資料によりま すと3割強の玄米22石と賦役代金の銀34匁が収入になるそうです。*1

価格への換算表*2を使うと、信之お父さん約500万円、直之さん約700万円の年収、ということになるそうです。経理課の重要なポジションの公務員と考えると、なんか納得の数字です。(単純に米価の比率を使うと22石は110万円ですから、これは安すぎでしょう。)

さらに猪山家は加賀100万石の藩士。国許では十分でも、江戸詰になると借金生活に陥る。これもお父さんが東京に単身赴任すると家計が苦しい・・・という現在とよく似た状況みたいで、さらに納得しました。

で、フリーター、日雇い派遣についていろいろと論議される現在ですが、某週刊誌の欄外豆知識みたいなところから拾ってきた情報その1。・・・江戸初期に書かれたとされる「雑兵物語」では足軽の賃金は、1日につき米6合、味噌0.2合、塩0.1合の現物支給・・・

そうですか。手柄を立てると報奨金が出て、手柄の内容によっては家来に取り立てられる。う~ん、チャンスがあれば正社員になれるとはいえ、現在の最低賃金と比較しても???ですね。

情報その2・・・新撰組隊士(役職なし)の給料は1か月1両。住み込みで家賃、食費は隊持ち。事件ごとに報奨金あり。池田屋事件では600両。・・・

月に30万円プラス出来高制。あらら、斉藤祐樹投手よりはお安い。ってその比較はないでしょう。すいません、ついつい美少年沖田総司のイメージとだぶっちゃいました。

さて、徳川の治世約300年。もともとは戦闘部隊であったのが、平和が続く中で治安維持、徴税などの行政職を担うことになった武士の皆様。武道にたけたう え、朱子学の心得により上下の規律に厳しく金銭至上主義を否定する生き方をされておりました。天下り廃止について喧々諤々の現在、官僚の皆様も少しはその 生き方を学んでいただきたいなぁ、などと思ってしまったのでありました。皆様はいかがですか。

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