お金がもどってくる制度【2014年 第4回】

【2014年 第4回】 お金がもどってくる制度- 介護保険法改正でどうなる、介護のお金

浅川 陽子(アサカワ ヨウコ) ⇒プロフィール

 

来年から、介護サービスの一部利用者の自己負担額が、現行の1割から2割に引
き上げられることになりますが、支払ったお金がもどってくる制度についても
一部改正が予定されています。

 

 

 

 

 

自己負担の上限額

1.高額介護サービス費
公的医療保険での「高額療養費」と同じような制度が、介護保険にもあります。それが「高額介護サービス費」で、同じ月に負担した1割の利用者負担の合計額が上限額を超えると、超過分が申請により戻るというものです。自己負担の上限額は下記の表の通りです。


<2割負担者にとっての、救済制度となる>
今まで、高額介護サービス費の恩恵がなかった場合でも、来年、介護保険の自己負担が2割になる人にとっては、ありがたい制度となる場合となります。今、毎月、1割の自己負担金として、25,000円を払っていた人が、2割の自己負担対象者(単身で、合計所得金額が160万円以上、年金収入だけなら280万円以上)になると、25,000万円の2倍の5万円が自己負担になりますが、その場合、37,200円が自己負担の上限ですから、差額分の12,800円が、還付されることになるからです。

< 平成27年8月から、現役並みの所得者の負担上限が、44,400円に>
現行の一般世帯(住民財課税世帯)では、1か月の自己負担限度額は、37,200円ですが、この一般世帯のうち、現役並みの所得がある世帯については、自己負担の上限額が、44,400円に引き上げられることになりました。「現役並みの所得」とは、社会保険の医療保険における定義と同じ、課税所得が145万円以上ということになります。介護保険についても、公的医療保険と同様、経済的に余裕があるとされる「現役並み所得者」に対し、負担を増やすのが目的のようです。課税所得(住民税)が、145万円となる収入例は、厚生労働省で公表しているモデルケースを参考にあげておきます。

※課税所得145万円となる収入例
・高齢者 夫婦2人世帯・・・収入520万円  (年金280万円+給与240万円)
・高齢者 単身世帯・・・収入383万円     (年金201万円+給与182万円)

課税所得が145万円以上の「現役並みの所得者」の場合、当然、介護保険の自己負担は2割の対象者になりますので、2割の自己負担金額が、44,400円を超えた分について還付してもらえることになります。

負担を軽減するための制度

2.高額医療・高額介護合算制度
公的医療保険と介護保険の両方を利用した世帯で、高額療養費や高額介護サービス費の支給を受けてもなお残る負担を軽減するための制度です。毎年8月1日から翌年7月31日の世帯の医療と介護についての自己負担額の合計金額から、下記の表にある自己負担限度額を超えた金額が申請により支給されます。
平成27年1月からの医療保険高額療養費の変更により、70歳未満の高額医療・高額介護合算制度の自己負担限度額が平成26年8月から変更になっています。

※ 低所得Ⅰ:世帯全員が住民税非課税で、各所得が、必要軽費・控除(年金控除は80万円)を引くと0円となる
低所得Ⅱ:世帯全員が住民税非課税で、低所得Ⅰに該当しないもの

税金の還付を受ける方法

3.所得控除で、税金の還付を受ける方法
<医療費控除の対象になるもの>
介護保険の居宅サービスの一部について、自己負担分が医療費控除として認められ、指定居宅サービス事業者の発行する領収書に、医療費控除の対象になる金額が記載されています。
公的施設に入居している場合、介護費、食費、居住費として支払った金額について、介護老人福祉施設(特養)では半額が、それ以外の公的施設では全額が医療費控除の対象になります。
また、紙おむつ費用については、6か月以上寝たきり状態で、医師による「おむつ使用証明書」(有料)がある場合には認められることがあります。
なお、高額介護サービス費の支給を受けた場合は、医療費控除対象額合計から、高額介護サービス費の金額(特養の費用については半額)を引いた金額になります。

<障害者控除対象者認定を受ける>
所得控除の1つである「障害者控除」は、納税者本人や扶養親族が障害者手帳を持っている場合、適用になりますが、手帳を持っていなくても、65歳以上の人で、市町村長等が「知的障害者か身体障害者に準ずるもの」として認定した場合は、「障害者控除」の適用になります。要介護認定を受けている場合、この認定も受けられる可能性が高いので、申請をしてみることをおすすめします。認定基準は12月末なので、11~12月ごろ、市区町村で申請をすれば、確定申告前に認定書が受けられます。なお、この
認定は毎年行われますので、申請も毎年行う必要があります。

障害者控除の金額(所得税)は27万円、特別障害者控除の金額は、納税者本人が該当する場合で40万円、一定の条件を満たす配偶者・親族の場合は75万円ですから、所得税や住民税の負担を軽減できる効果が高いので、ぜひ活用したい制度です。
来年の8月から、介護保険の自己負担が2割になる対象者は、65歳以上の20%といわれています。高額介護サービス費で、負担増がある程度抑制されることになっていますが、これを機に、今まで使っていなかった制度で、活用できるものはないか、ぜひ検討してみましょう。

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