介護保険の自己負担額と2割負担【2014年 第3回】

【2014年 第3回】 介護保険の自己負担額と2割負担- 介護保険法改正でどうなる、介護のお金

浅川 陽子(アサカワ ヨウコ) ⇒プロフィール

 

「医療介護総合推進法」が、先日成立し、2015年8月から、介護サービスの利用者の一部対象者の自己負担額が、現行の1割から2割に引き上げられることになりました。

 

 

 

 

 

限度内であれば、利用者の自己負担は1割

<介護保険の自己負担額とは>
介護保険制度では、介護度によって毎月利用できる限度額が定められていて、その限度内であれば、利用者の自己負担は1割です。毎月の利用限度額は、実際には、地域によって若干の差がありますが、目安は下表の通りです。


さらに、「居宅介護住宅改修」では、20万円まで、自己負担1割で、家に手すりを設置したり、段差解
要介護3の方であれば、月間限度額は269,310円ですが、実際には20万円だけ利用した場合、その1割の20,000円が利用者の自己負担になります。逆に要介護3の方が30万円分のサービスを利用してしまうと、限度額を超えた約3万円は全額自己負担になります。また、この限度額には、「特定福祉用具購入費」や、「居宅介護住宅改修費」は含まれていません。
「特定福祉用購入」は、ポータブルトイレや浴室用の介護イスなど、肌に直接触れる福祉用具については購入できるというもので、上記の限度額とは別枠で10万円まで、1割の自己負担で購入できます。一方、介護用ベッドや車イスなどの福祉用具は、レンタルができ、そのレンタル費用は毎月の利用限度額内に含まれます。

消の工事等が受けられます。

一定以上の所得がある人は

<自己負担額が2割になる人は?>
今回の法律で、自己負担が2割になるのは、一定以上の所得がある人です。具体的には、年金収入だけの単身者の場合280万円以上の人が対象になります。これにより、65歳以上の約2割にあたる人たちが対象になるといわれています。ただし、2割負担になるかどうかは、世帯ではなく、個人ごとに判断されますので、年金収入だけの夫婦世帯で、夫の年金が300万円、妻の年金が100万円であれば、夫は2割負担、妻は1割負担になります。

要介護1の方が、仮に利用額上限で利用していた場合、1割の自己負担額は上表の通り、16,692円ですが、2割負担になると、2倍の33,384円になります。在宅サービスを受けている場合は、自己負担増を抑えるために、ケアプランそのものを見直すケースもでてくるものと考えられます。
それでは、要介護2以上の場合は、利用上限額で利用していた場合、2割負担になるからといって、負担が単純に2倍にはなりません。それは、「高額介護サービス費」制度で救済されるからです。

 

「高額介護サービス費」とは、同じ月に負担した自己負担額(1割)の合計額が一定金額を超えた場合、超えた金額が、申請によって還付される制度です。「高額介護サービス費」の上限額は、一般の人では、37,200円(個人、世帯ともに)ですが、この金額を超えた分の金額が戻ってくることになります。ですから、自己負担金額は、実質、毎月37,200円で打ち止めになり、介護度が重く

介護サービスをフルに利用している人ほど、救済されることになります。
ただし、「高額介護サービス費」の自己負担上限額も、現行では、一般の人では37,200円ですが、現役並みの所得がある場合(年収383万円以上の単身者等)、44,400円を上限にすることが予定されています。

超えた金額はすべて自己負担

<自費の介護保険外サービスもある>
介護保険の自己負担が2割負担になることで、今まで受けていたサービスの見直しを行い、サービスを減らそうとする方がいる一方で、介護度が重く、利用限度額を毎月超えるほどの介護サービスを受ける生活を余儀なくされている方もいます。介護保険サービスの毎月の利用限度額を超えると、超えた金額はすべて自己負担です。

最近は、通常の介護保険サービスに付随して、介護保険外サービスとして、1時間3,000円程度で訪問サービスを行う、介護事業者も増えてきています。1時間3,000円程度という金額は、実際に1時間の介護保険の訪問介護を、100%自費で受ける場合よりも、若干安い金額ですから、介護保険の利用限度額を超える分について、介護保険外サービスで同じような介護を受けると、その分、費用が割安になります。

また、介護保険の訪問介護では、頼めないような、大掃除や、庭の手入れ、ペットの世話等の家事も、この介護保険外サービスを使うと、やってもらうことができます。介護保険外サービスの内容によっては、1時間のサービス料金がさらに安い場合もあり、このような付随サービスも上手に活用していくことで、介護される方の生活を豊かに、また介護する方の負担軽減につなげていきましょう。

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