マイアドバイザー® 顧問 岡本英夫 (オカモト ヒデオ)さん による月1回の連載コラムです。
ファイナンシャル・アドバイザー(近代セールス社;2022年春号以降休刊)の初代編集長として、同誌でも寄稿されていたエッセイの続編的な意味合いのあるコラムとなります。
岡本 英夫 ⇒ プロフィール
銀行業務と保険業務を取り扱うJA系統金融機関
わが国の金融機関へのFP導入を考えたとき、貯金業務と保険業務(簡保)を取り扱う郵便局と、銀行業務(貯金・融資・為替)と保険業務(共済)を取り扱うJAは当初から近代セールス社のFP部門のターゲットだと考えていた。郵便局(ゆうちょ・かんぽ)については前回述べたので、今回はJA系統金融機関について紹介してみたい。
第1回米国FP視察報告会に静岡県信連が参加
近代セールス社は1986年10月に「第1回米国FP事情視察団」(JTB主催、同行講師・川村雄介氏)を派遣し、12月に「視察報告会」を東京・千代田区の九段会館で開催した。銀行、保険会社等の参加者に加えて、静岡県信連推進部担当者の名前があったが、さほど気に留めずにいた。
しかし翌87年2月にその担当者から電話がかかってきた。
聞けば信連で県下農協(JA)の金融担当者向けにFP養成研修を行いたいという。
直ちに13日間の研修企画案を作成し送付したところ、後日、6月から実施したいとの返事があった。
内容はFP概論・金融資産運用、所得税、不動産の有効活用、相続税、提案書の作成が各2日間、最後に筆記試験・提案書作成試験を実施するというものであった。
そして、筆記試験、提案書作成試験(面接方式)に合格すれば「静岡県信連FP認定資格」が与えられ、後日、認定式を行うことになっていた。この方式が翌年以降、石川県信連、東京都信連、長野県信連、愛媛県信連、そして福岡・北海道・青森・秋田・岩手・福島・新潟・三重・京都・兵庫・山口・熊本の各信連に波及していったのである。
JA系統金融機関への思い入れ
実は、筆者にはJA系統金融機関への思い入れがあった。
実家が兼業農家で、大学時代にはゼミで農業政策論・協同組合論(三輪昌男教授)を選択した。就職に際しても新聞連(日本農業新聞)、共済連、山口県信連に挑戦したがかなわず、教授の紹介で近代セールス社に入社することになる。卒論でも日本農業の未来について論じていた。
当時の農協系統金融は、単位農協(JA)、都道府県信連、農林中央金庫という3段階組織になっていた。
共済事業も単位農協、都道府県共済連、全共連の3段階で、購買事業・営農指導事業も単協、都道府県、全国の3段階組織であった。
銀行や保険会社出身の担当講師には、この組織形態と、JAの貯金事業、共済事業の特色を説明して理解を得た。
なお、現在のJA系統はこの3段階が一部崩れている。
「系統FA養成講座」の開発
1989年までは、各信連の研修に際しては既存の「ファイナンシャル・プランナー養成講座」と各講師が作成する資料を中心に行っていた。
しかし、通信講座の金融商品、保険商品とは異なったJA独自の商品があることもあり、1990年に系統金融機関の研修機関である協同セミナーに協賛を依頼し「系統FA養成講座」を開講した。
これにより、研修受託もスクーリング方式の講義もスムーズにいくようになった。
たとえば共済であれば建物更生共済や自動車共済・農業共済と民間生保会社の商品の違い、相続では農業投資価格や生産緑地の説明が容易になった。
年金でも農業者年金基金の説明が施されているテキストは少なかったが、こうした点を補うことができた。
「系統FA養成講座」は2001年まで10年以上にわたり続いたが、信連自体が次第に独自の認定資格から日本FP協会のAFP、CFP®資格を指向するようになり、廃講せざるを得なくなってしまった。
ただ、この講座のおかげもあって福岡共済連や熊本共済連など共済連のFP養成研修受託や、大規模JAの受講者獲得にもつながった。
2000年以降
一時は全国の都道府県信連の半数近くでFA(FP)の養成事業を行っていたが、1998年、近代セールス社は日本FP協会の法人会員・認定教育機関となることを決断する。
以後、近代セールス社は、JA系統金融機関の受託研修を信連認定資格からAFP資格取得研修に衣替えすることになるが、それでもJAならではの営業支援部分を残している。
また、資格更新のための継続単位取得研修もおこなっている。
前回紹介した郵便局もそうだったが、金融機関の特性に応じたFPは今でも必要だと思う。
日本農業もJA組織も現在過渡期にある。
JAに求められる組合員サービスも変わりつつある。それに応じた金融機関独自のFPのあり方があると思うのだが、いかがだろうか。
なお、JA系統金融機関だが、現在は「JAバンク」と総称している。
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