お盆を機に相続を考える【2012年 第8回】

【2012年 第8回】お盆を機に相続を考える 地域:東京

岡本 典子 ⇒プロフィール

お盆は日本中に散らばっている兄弟姉妹が親の元に帰省し、親族とともに先祖の墓参りをする団欒のとき。今年も皆が一堂に会せたことを喜び、日頃の生活を報告し合いながら、互いの健康状態を確認する時でもあります。

 

相続の実態

いつかはおきる相続。あなたが築いた財産の配分が元で、愛する家族が争う<争続>になるのは何とも悲しいもの。そうならないためには、元気なうちに、相続の段取りを心がけておくことが大切です。

まずは財産の洗い出し。預貯金、株式、保険、年金、不動産、そして、負債もまた相続財産となるので、これらすべてを一覧表にし、時価で評価してみましょう。
相続人となるのは誰と誰か、法定相続分はどうか、2次相続(配偶者に相続した後の次の相続)まで考慮すると、どう配分したらよいか、など、考えることはたくさんあります。
複雑なケースであれは、専門家に相談することをお奨めします。

日本における相続の実態を、国税庁が発表した「平成22年分の相続税の申告の状況について」をもとに見ていきます。

 

                平成22年度       平成21年度 

・死亡者数            1,197,012人     1,141,865人
・相続税額があるもの          49,733人      46,438人
・課税割合               約4.2%       約4.1%
・相続人一人あたりの課税価格    21,006万円      21,765万円
・相続人一人あたりの相続税額    2,363万円      2,502万円

 

 

 

 

 

 

 

 

 

相続税を支払っている人は、相続税評価額で平均2億以上の財産を持っているということで、時価に直すともっともっと持っているという訳です。
「私には相続なんて関係ないわ!」と思われるかもしれませんが、特に都内にお住まいの方は、そうとばかりも言ってはいられないのです。

東京国税局の納税額は全国の約半分!

国税庁が2006年に発表した「2004年度税務統計 相続税関係」によれば、東京国税局
(東京・神奈川・千葉・山梨)の申告した相続納税金額は、全国におけるシェア45%!
4,830億円(東京国税局管内))/10,650億円(全国申告納税額)≒45%
東京国税局管内の相続は全国の約半分を占めるほど、課税価格が大きいということです。

さらに詳しく、東京国税庁管内の相続税納税金額税務署別ランキング(2003年度)を見ると、
1位 武蔵府中税務署 (府中市、調布市、狛江市)   :154億円
2位 川崎北税務署 (川崎市中原区、高津区、宮前区) :148億円
3位 緑税務署 (横浜市緑区、青葉区、都筑区)    :147億円
4位 玉川税務署(世田谷区のうち玉川地区)      :137億円
5位 北沢税務署(世田谷区のうち北沢地区)      :134億円

この都心を含まない5エリアだけで1年間に納税された金額が720億円。全国比では約6.8%。地価が高いことが大きな要因と考えられます。

<争続>とならないための対策

下のⅢのグラフをご覧ください。
相続財産の中身ですが、約半分が不動産で、自宅とある程度の預貯金と株式が少しという配分です。
また、財産が少ない人ほど、財産に占める不動産の割合が高いという統計もあり、相続財産のほとんどは現在住んでいる家、というケースでは、しばしば争続がおきています。
家という分けられない財産は、兄弟が3人いても、もらえるのはただ1人。
あと2人は少しの現金などを分け合うことになり、<争続>が発生するのです。

家だけでなく、現預金や有価証券、保険など分けやすい財産を均等に分けられる程度に持っていると、スムーズに遺産分割協議が進みます。
早くからの対策が決め手なので、なるべく均等に分けられるように資産を整理し、公正証書遺言を作成しておくことが望まれます。

何しろ、亡くなってから10ケ月以内に分割協議をまとめ、相続税の申告、納税をしなければなりません。やることはいっぱいで、けっこう時間はタイトですから。

 

 

 

 

 

 

エンディング・ノートは大切な人への最後のメッセージ

法的効力がある正式な遺言書とは異なりますが、エンディング・ノートはふだん言えないこまやかな心のひだを書き記しておける、家族への最後のメッセージ集です。

突然親が倒れたら、日頃から思いを伝えていない限り、どうしてあげたら一番喜んでもらえるのか、家族は戸惑うことが多いでしょう。
例えば、どこにどのような財産があるのか、生命保険には入っていたのか、
病名や余命を告知してほしいのか、ほしくないのか、
延命治療を望んでいたのか、尊厳死を希望していたのか、
誰に伝えてほしいのか、誰には伝えてほしくないのか、
などなど。
エンディング・ノートに書いていくことで、自らの思いを確認し、引き継いでもらいたいとが鮮明になっていきます。

相続争議は神代の昔から

672年に起きたとされる壬申の乱は、天智天皇の死後、息子の大友皇子と弟の大海人皇子(のちの天武天皇)の皇位継承争い≒相続争いといえます。
近年では、京都の一澤帆布の兄弟争いが有名ですが、人の世の常というもの。
早めの手立てに敵うものはありません。

なお、全国的には子ども達の夏休み中で終戦記念日と重なる8月15日がお盆といわれているようですが、東京のお盆は7月15日(13~16日)というところが多く、私も7月14日にお墓参りに行ってきました。

年末年始とともに家族が集まるお盆休み、いつかは迎える相続について考えはじめる絶好の機会でもあります。

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