「入社」~入社から見えるこれからの働き方~【2012年 第4回】

【2012年 第4回 】「入社」~入社から見えるこれからの働き方~ 地域:全国平均

波多間 純子(ハタマ ジュンコ)  

4月になると企業の入社式の様子がニュースで映し出されるのが恒例です。新入社員の皆さんの緊張した初々しい面持ちとフレッシュな行動力が企業へ新鮮な風を送り込んでくれます。新たなチャレンジは誰にとっても勇気が必要ですが、どうかいろいろな経験をご自身のものにして、自分らしい人生を目指していただきたいと願います。

23年度の大卒就職内定率

さて、新入社員の方がくぐり抜けてきた就活戦線ですが、ここ数年を振り返っても氷河期に「超」がついて久しい、なるほど厳しいものだとわかります。

平成23年度卒業見込みの大学生の就職内定率は80.5%(平成24年2月1日現在)です。前年同期と比較すると3.1ポイント上回る水準ですが、96年からの調査では過去3番目に悪い結果となりました。景気と内定率の相関性も強くなっている昨今では、卒業の年の景気によって将来が変わるという理不尽さがあります。

 

 

 

 

 

厚生労働省:平成23年度「大学等卒業予定者の就職内定状況調査」より

大卒の3年以内の離職率は3割にも

一方で厳しい就職内定率にも関わらず、大学卒業後の離職率は3割にも達し高水準で推移しています。中学・高校・大学の各卒業後の離職率は俗に「七五三」といわれ会社への定着の難しさを示しています。

 

 

 

http://www.mhlw.go.jp/topics/2010/01/tp0127-2/12.html
せっかく就活でがんばって入社した会社をなぜ、とも思いますが、産業の構造が変わっている中、従来の雇用のあり方が今の産業構造に対応できなくなっていることも考えられます。

私見ですが離職理由として「そんなに長く待ってられない」という若い人の思いがあるのではないでしょうか。就職した会社の中で自分の「成長」や「活躍」を実感したり、その時期が来るまでが余りにも長すぎると感じ、将来像が描けないのかもしれません。

それでも就職機会は依然としてほぼ新卒1回限りのチャンスです。しかしながら、新卒を一括して採用する方法は高い経済成長、増加する労働人口、製造業が中心の社会であることを前提としています。製造業のような労働集約型の産業は長く務めるほど技術が熟練されていきますので、若い年齢の労働者を早い段階から囲い込むことが有効です。また、こうした働き方では出産・育児でキャリアの途切れない男性を正社員として厚遇することが会社の利益に結びついていたのです。

一方、1990年からのポストバブル崩壊後では、ビジネスのサイクルがより短くなったり、新しいビジネスを一から立ち上げたりする必要があり、従来型の制度がフィットしなくなっています。自由で画期的な発想は組織の規律を重んじる従来の働き盛りの男性より、むしろ若い人や女性といった傍流の中からでてきやすいでしょう。活躍のチャンスを何年も待っていることは苦痛です。

このような制度だけが残っていて、その働き方が変わっている現在では、働く人が戸惑うのも無理がないように思います。

働くことはそんなに不自由なことか

そもそも仕事を持って働くことは、あくまで自分の生活を自分の力で支える手段です。就活という一発勝負の高いハードルを超えた末の果実では切なすぎます。さらには、皆が大企業社員・公務員、医者や弁護士を目指したり、それらの職業を頂点として一律に就活のゴールに据えることが正解でもないはずです。

もっと「普通」に気軽にいろんな仕事を試したり、転職したりチャレンジできる環境があってほしいのですし、チャレンジした人材が会社に貢献する時代になっているとも思います。

とはいえ新卒採用がまだまだ主流なのも現実です。そこで、ひとつのヒントをご紹介します。村上龍氏の著作「13歳のハローワーク」の中で、「仕事を選ぶとき、会社員になる(=どこかの企業に就職する)という選択肢を外して考える」ことを提案していました。まず、希望する職業(希望する会社、ではない)をじっくり考えて、次に活かせそうな会社を探してみましょう。その会社は必ずしも大企業ではないかもしれません。しかし大企業でなくてもやりがいや生活を支えられる等身大の企業をみつけることは可能です。就活の主流から外れていても、それはあきらめるとこではなくより視野を広げることだと気づくことが大切です。

すでに働いている方であっても、今の仕事を続けながら興味あることを一歩はじめてみるのも良いと思います。「今の会社しか選択肢がない」という思い込みを自分で外していくことが延いては次の飛躍につながるはずです。

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