少し早めの「ワタシ整理ノート」を【2010年 第 1 回】

【 2010年 第 1 回 】少し早めの「ワタシ整理ノート」を ”終わり”ではない「エンディングノート」 

高原 育代(タカハラ ヤスヨ)⇒プロフィール

自分自身の「最期」の備え

自分自身の「最期」を思って備えをしていますか?
胸を張って「はい」と答えられる人は、それほど多くはないでしょう。

いきなり突きつけられるとドキッとするような質問かもしれません。
が、この世に「生」を受けた以上、誰しもかならず「死」を迎えます。その時になって慌てないように、そして後悔のないように備えることは必要なことだと思います。

平成20年の1年間に亡くなった人数は114万2407人。2003年に100万人を超えて以来、年々増加しています。(厚生労働省「人口動態統計」より)
日本の高齢者人口(65歳以上)は2906万人で、総人口の22.8%を占めているのです。(総務省発表 2009年11月1日時点の推計)

こういったデータを見ていると、近頃、「エンディングノート」が新聞やテレビの話題として取り上げられたり、書店でも同様のテーマや遺言に関する書籍を見かけることが多くなったりしていることが納得できるでしょう。

エンディングノート

自分に万一のことがあったときに、遺される人に伝えたいことを1冊のノートに…それが「エンディングノート」です。
「エンディング」とか「人生の最期」などというと、「まだ自分には関係のないこと」あるいは「そんな縁起でもないことは考えたくない」と、つい先延ばしにしたくなるものです。

では、あなたは、いつ、どういう時になったらそんな準備をしようと思っていますか?

自分がある程度の年齢にならない間は、よほど自分自身が大きな病気やケガをしたり、あるいは親や身近な人たちが亡くなったりするといったきっかけがなければ、「自分のもしも」は考える気にならないかもしれません。
でも、日本人の暮らし方も変化してきているというこんなデータを見てみましょう。

老いも若きも含めて一人暮らしの世帯が増えていて、全世帯数の約29.5%、つまり3世帯に1世帯は一人暮らしをしているのです。
しかも、そのうち約27%が高齢者(65歳以上)。ということは、全世帯の約8%、13世帯に1世帯は高齢者が1人で暮らしているというのが現状です。(2005年国勢調査より)

この傾向は今後も続き、2030年には一人暮らしの世帯は全体の4割弱まで増加し、それにともなって高齢者の一人暮らしも7世帯に1世帯にまで増えると予想されているのです。(国立社会保障・人口問題研究所の推計より)

生きることは死ぬことと似ている

現在放映中のテレビドラマ「ギネ~産婦人科の女たち」の中で、末期の卵巣ガンと闘う女子高生に婦人科の医師が告知する場面にこんなセリフがありました。
「生きることは死ぬことと似ている」
告知された時は、すぐにそんなことばも受け入れられなかった彼女も、亡くなる前に、そのことばを実感してかみしめていた場面に、つい涙を誘われました。

人間は、健康でいる時は“当たり前”になりすぎて、「生」のありがたさをつい忘れてしまいます。
真剣に「死」と対峙することを迫られなければ、「生」のありがたさを感じられないというのは実は悲しいことかもしれません。

若くて健康であって、さらにこれからの人生をより良く生きるために「少し早めのワタシ整理ノート」を書いてみる。
そういう前向きで広がりのあるノートについて、これからいろいろと考えてみたいと思います。

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