保護されている預金は安全ですよ【2009年 第 11 回】

【 2009年 第 11 回】保護されている預金は安全ですよ 資産運用

 大山 潤(オオヤマ ジュン)

FDIC(米連邦預金保険公社)は22日、新たに地銀7行の破たんを発表しました。

これによって米銀行破たんが106行となり、1992年以来に年間の金融期間破たん数が100行を超えたことになりました。

 

 

 

以下は、「1934以降の金融機関破たん数の推移(Calculated Riskより)」を表したチャートです。1980年代のS&L(貯蓄貸付組合)危機では、ピーク時の年間破たん数は534行に達しています。

※チャートには、当時と現在では各金融機関の保有する資産や支店の数は異なるのだから、単純に数を比較することはできないけどね、という添え書きがあります。

 

 

 

 

 

増え続ける金融機関の破綻

今年に入ってからは特に、「今週は○○行破たんして、年間の金融機関の破たん数は○○行になりました。」という感じのニュースが毎週のように聞かれました。その度に、「順調に(という言い方は不謹慎ですが)破たんしていっているなぁ・・」という印象を持っていましたので、100行を超えたこと自体には、さほど驚きはありません。

 

むしろ今回の金融危機の深刻さを考えれば、金融危機発生以来の累計での破たん数は、一桁違う数になってもおかしくないとも思っています。

破綻を予防したいFDIC(米連邦預金保険公社)総裁のメッセージ

印象に残ったのは、このような金融機関破たんの進行に対し、FDIC(米連邦預金保険公社)総裁であるシーラ・ベアーがメッセージを出したことです。

メッセージ動画は、現状の厳しさ、今後も継続し銀行の破たんが続くかもしれないこと、前回膨大な数の銀行破たんを経験したS&L危機といった内容にも触れつつ、「みなさんの預金は完全に保証されています。FDICには保証するための十分なリソースがあります。」という言葉ではじまり、そして締めくくられています。

話している彼女は時折表情に、「皆さん大丈夫ですよ」「安心してください」と母親が子供に語りかけるような穏やかな笑顔を浮かべています。一方で、そのメッセージを言葉だけでなく雰囲気でも伝えるようとする、必死さと緊迫感を感じました。

以下は、FDICホームページトップのキャプチャー画像です。左側が2009.10.23にアナウンスされた7行の破たん銀行情報へのリンクで、右側がシーラ・ベアーのメッセージ動画(YouYube)です。

 

 

 

FDICとしては、預金者が不安に駆られて行動してしまうことで、破たんしなくてもよいはずの金融機関にまで破綻の危機が及ぶことを未然に予防しておきたい、ということでしょう。

本当にまったく問題ない?

それでも、FDICのリソース(保険金支払いのための資産額)がこれまでの度重なる急減していること、各金融機関に預金を保証するための保険料の増額を提案していることを考えると、ちょっと勘ぐってしまいます。

本当にまったく問題がない状況、大丈夫ですよという状況であれば、わざわざ「大丈夫ですよ」という発言はしないのでは・・?と。

Calculated Riskhttp://www.calculatedriskblog.com/

  • コメント: 0

関連記事

  1. 毎度お世話になっております、田舎のご近所づきあい【2013年 第12回】

  2. セカンドライフのための資産運用③ 投資信託【2009年 第 7 回】

  3. 単身赴任を楽しむ(1)【2012年 第7回】

  4. 岡本英夫のFPウオッチャーだより 第3回 ブラックマンデーに学んだ「リバランス」 【2022年6月】

  5. 商品投資に係る税金について【2012年 第12回】

  6. 保険を考える前に知っておきたい教育費【2012年 第1回】

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

コメントするためには、 ログイン してください。