水不足の深刻化はエネルギー問題同様に日本を苦しめるかもしれない【2009年 第 8 回】

【 2009年 第 8 回】水不足の深刻化はエネルギー問題同様に日本を苦しめるかもしれない 資産運用

 大山 潤(オオヤマ ジュン)

今回とりあげた記事2つは、インドと中国それぞれにおける水不足に関する記事です。両国に限らず、近年の水不足問題への関心は、水源の不足だけでなく、水質など環境面を含め、ますます高まる一方でしょう。

 

一つは、インドにおける水不足について書かれたFT誌の記事(BR PRESSによって翻訳)、もう一つは、産経ニュースの中国における水不足について書かれたものです。

中国企業による日本の水源地買収の動き?!

特に産経ニュースの記事については、驚いたというよりも少々危機感を抱かせる記事でした。

中国の企業が西日本を中心に全国各地の水源地を大規模に買収しようとする動きを見せているというものです。買収側から「市場価格の10倍の金を出す」との話があったというエピソードもあり、買収の目的は緑資源ではなく、水資源の獲得ではないか?という見方が紹介されています。

幸い林野庁の都道府県への聞き取り調査の結果では、これまでに売買が成立したケースはないということですが、国土保全の問題はもとより、国家の安全という点からも、国の財産として管理できるような体制を整えてほしいものです。

水需要の伸びと供給不足

以下、中国に関の現状に関して、産経ニュースからの引用です。

・ 東京財団の調査によると、中国では飲用水の需要が急速に伸びており、ペットボトルに換算すると、この10年間で約4倍になっている。
・ 急速に工業化が進む北部では工業用の水不足が慢性化。穀倉地帯や内陸部の小麦地帯でも、干魃(かんばつ)被害の影響で農業用の水不足が深刻化しているという。

次に、インドに関するFTからの抜粋です。

・ アジア開発銀行(ADB)は最近、世界の人口の14%を抱えながら、世界の河川流量の4%しか持たないインドに対し、水の需要が現存することが確認されているすべての水供給源を上回る見通しの2020年までに、深刻な水の危機に見舞われると警告した。
・ 弱いモンスーンは、GDP(国内総生産)成長率を昨年の6.9%から今年は9%に加速させたいと考えているインドにとって、具合が悪い。農業はインドのGDPの17%を占めるに過ぎないが、国民の3分の2が農業およびその関連産業から主たる収入を得ているからだ。

FT誌でも「農作物が減少→食料価格が高騰→家計消費が減退」と見出しが付けられているように、インドに限らず、中国あるいはその他の水不足に苦しんでいる国々でも、同様の問題に直面する可能性があります。

輸入頼りの日本も農産物の価格高騰

一方で、比較的水に恵まれ日本においても、インドや中国を始めとして輸入に頼っている農産物だけでなく、輸入した飼料や肥料で生産される国内産の家畜や農産物が価格高騰につながりかねません。

国内の需要と供給のバランスに関わらず、国外の要因によって価格が高騰するという意味では、少し前にあった原油や資源価格高騰がまわりまわって日用品、生鮮食品などにも波及したことが思い出されます。

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