失業しなくても雇用保険から受け取れる高年齢雇用継続給付【2011年 第7回】

【2011年 第7回】 失業しなくても雇用保険から受け取れる高年齢雇用継続給付 ~社会保険(健康保険)~

マイアドバイザー®事務局 優益FPオフィス 

毎年、8月1日に変更されてきた雇用保険の「賃金日額」。
ここ数年は、ずっと下がり続けてきたのですが、平成23年の8月1日から5年ぶりに上がることが決定されました。
雇用保険からもらえるお金は増えるのでしょうか。

賃金日額って何?

平成18年以来下がり続けてきた賃金日額が、5年ぶりに上がることが6月30日に厚生労働省から発表されました。
この賃金日額。簡単に言うと、退職する日以前6カ月分のお給料を180で割って、給料を1日当たりに換算したものです。
雇用保険からの給付は、すべて「賃金日額」によっていくらの金額が受け取れるか決定されます。

お給料が高い方は、この賃金日額が上がることで、ひょっとして受け取れる金額が増えるかもしれません。

失業していないのに雇用保険が受け取れる!
雇用保険というのは、失業した時以外にも受け取れます。

その一つが、「高年齢雇用継続給付」です。
例えば、60歳で、一旦定年となり、再雇用される場合。
60歳以降のお給料が、75%未満になった時に、給料の15%相当額(最大)が「高年齢雇用継続給付」として、雇用保険から受け取れます。

定年以外の理由、雇用延長や再就職など、労働条件が変わるときにも利用できます。
60歳以上65歳未満の間は、この高年齢継続給付と年金と給料が収入の3本柱と覚えておきましょう。

高年齢雇用継続給付の支給はどんなとき

支給されるための要件について、概要を知っておきましょう。

まず、①雇用保険に5年以上加入していること
(5年なくても、再就職するまでの間が1年未満であれば通算できるなど、例外はあります)
②60歳時点のお給料と比較して、60歳以降のお給料が75%未満となること。
(60歳時点でなくても、65歳までの間に要件を満たすと支給されるなど、例外があります)
③一旦、退職しても、再就職する時点で雇用保険の給付日数が100日以上残っていること

原則、この要件を満たしていると、支給されます。

実際支給を受け取るために何をしたらいいの?

ずっと会社に勤めて、手続などを会社任せにしてきた方は、別の会社に勤務することになった時、困ることがよくあります。
手続をするための書類が揃っていないからです。
雇用保険の番号や基礎年金番号などは、新しい会社でも再発行することは可能です。

ただし、転職する前のお給料まで調べることはできません。
雇用継続給付の要件として、「60歳時点のお給料と比較して、75%未満のお給料に低下すること」が要件となりますので、まず、60歳時点のお給料が特定できなくてはなりません。
59歳以上で退職される方は、必ず、賃金日額が確認できる「離職票」もしくは「60歳時等賃金日額証明票」を会社から受け取っておいてください。

また、年金をちゃんと請求して年金額を調べておくと、再就職する際の給料が決定しやすくなります。
この雇用継続給付を受け取れると、老後の生活生計がたてやすくなります。

ただ、どんな場合にも受け取れるわけではなく、受け取るための要件はクリアしなければなりません。
「賃金の低下が、早退や欠勤ではだめ」などの細かい条件もありますし、給料と給付金の合計が344,209円(2011年8月1日から2012年7月31日まで)が上限という制限もあります。

また、賃金の最大15%相当額が、60歳に到達する月から65歳に到達する月まで受け取れるのに、65歳の誕生日で退職ということになると1カ月分もらえないなど知らないで損をするケースも結構あるものです。

ぜひ、この給付を受け取りたいと思った時には、細かい要件までハローワークでチェックしてもらっておくか、会社の総務などにきちんと確認しておきましょう。

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