先進医療の現状 【2016年 第4回】

【2016年 第4回 先進医療の現状】生命保険を考える時に絶対役立つ情報!

 松浦 建二(マツウラ ケンジ)⇒ プロフィール

 

どこの保険会社でも医療保険やがん保険等のパンフレットでは、保障の必要性をわかりやすくしたり保障内容を選びやすくしたりするために、いろいろな統計を使って説明しています。
どれも保障を考える上でとても役立つ情報なので、その中から特に重要な統計を取り上げ、さらに詳しくみていきたいと思います。

 

 

 

今日ではほとんどの医療保険やがん保険に先進医療の保障が用意されるようになりました。
保険料の安さもあって多くの人が加入していますが、先進医療保障は給付対象が変動する特異な保障でもあります。
安心できる備えをしておくためにも、先進医療について理解を深めておきましょう。

 

先進医療は厚生労働省が定める評価療養のひとつで、「保険給付の対象とすべきものであるか否かについて適正な医療の効率的な提供を図る観点から評価を行うことが必要な療養」となっています。
先進医療に係る費用は患者の全額自己負担ですが、先進医療以外の部分は保険診療との併用が認められています。

 

先進医療実績は患者数も費用も急増

先進医療の現状については厚生労働省のホームページに詳しく載っていて、現在の医療技術の種類や実施している医療機関、実施件数等を調べることができます。
下記の表は厚生労働省の先進医療の会議資料から平成27年6月30日までの5年間の先進医療実績をまとめたものです。

 

先進医療には評価が必要な技術が新たに入ってくることもあれば、保険給付の対象となって出ていくこと等もあることから、先進医療の技術数は増減し、平成27年6月30日時点では108種類となっています。
しかし、患者数は平成23年の14,505人から平成27年には約2倍の28,153人へ、先進医療費用も約98億円から2倍強の約205億円へ大幅に増えています。

 

陽子線治療と重粒子線治療の実施は拡大傾向

先進医療の中でも特に耳にする機会が多いのは、陽子線治療と重粒子線治療ではないでしょうか。
保険会社のパンフレットにも頻繁に登場します。

 

陽子線治療と重粒子線治療の過去5年の実施件数の推移を見てみると、共に毎年増え続けていて、陽子線治療は5年間で2倍、重粒子線治療は2.2倍になっています。
治療可能な医療機関が陽子線治療は10か所、重粒子線治療は5か所(平成28年3月31日時点)まで増えてきており、先進ながん治療を受けやすい体制が整いつつあるようです。

 

先進医療の実績は特定の医療技術に集中している

100種類ほどある先進医療のうち、実施件数の多い医療技術の費用や入院日数を下記の表でまとめてみました。

平成27年度(平成26年7月1日~平成27年6月30日)の実績で実施件数が多いのは「多焦点眼内レンズを用いた水晶体再建術(9,877件)」と「前眼部三次元画像解析(7,788件)」で、次に陽子線治療と重粒子線治療が続きます。
ここまでの4技術で実施件数全体の80%にもなります。
医療総額では、陽子線治療(81億円)と重粒子線治療(58億円)と多焦点眼内レンズを用いた水晶体再建術(53億円)の3技術だけで全体の94%にもなります。
先進医療の実績は特定の医療技術にかなり集中していると言えます。

先進医療の技術は時代とともに変わり、実施件数は将来的に増える可能性も減る可能性もありますが、治療の選択肢を一つでも多く確保しておくためにも、定期的に先進医療の情報を収集するようにしましょう。

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