ポートフォリオの組み立て方 【2013年 第4回】

【2013年 第4回 ポートフォリオの組み立て方 】投資に必要な経済の知識

有田 宏 (アリタ ヒロシ)⇒ プロフィール

ひとつの商品に全額投資するよりも複数の商品に分散した方がリスクを低減させることが出来ます。投資家それぞれのリスク許容度を考えながら、収益率を高める、それがポートフォリオ作成の目的です。その基本的な考え方を現代ポートフォリオ理論から説明します。

分散投資

資産運用の場合、資産を一つの種類ではなく複数の種類に分けて、なおかつそれぞれ値動きが異なる資産でポートフォリオを作成する、分散投資の考え方が基本とされています。ではなぜそのような面倒なことを行うのでしょうか?

分散投資の考え方は、“ある程度リターンを維持しながらリスクを極力抑える”ということにあります。

極端な例を説明します。ある銘柄の株式を保有します。同時に同じ銘柄の株式の先物売りを同じ株数だけ行うとします。その場合、株式が値下がりしたとしても、逆に先物売りで利益が出ますので、損益は相殺しあいゼロとなります。今度は株式が値上がりした場合、現物株の利益と先物売りの損失が相殺されますので損益はゼロ。

このようなポートフォリオは、市場がどんなに変動しても損益がゼロで固定化されます。ということはリスクもゼロという事になります。このように株式でリスクゼロのポートフォリオを組むことが可能になります。実際は収益ゼロのポートフォリオなんて言うのは意味が有りませんけど。また、手数料等を考えた場合、利益は確実にマイナスになりますが。

 

ただ、ここで先物売りの対象をTOPIXなどの市場全体の指標にすれば、この銘柄の市場に対する超過値上がり益を収益にすることが出来ます。仮にこの株が値下がりしたとしても、市場全体に比べ値下がり率が低ければ利益を生むことが出来ます。

それでは、このポートフォリオ作成の考え方をグラフを使って説明しましょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

グラフは横軸右側にそってリスクが、縦軸上にそってリターンが増えていくものとします。異なる値動きをする証券AとBが有るものとして、

それぞれのリスクとリターンはA点とB点で示されます。証券Aに比べ、証券Bの方がリスクとリターンは高くなります。

 

そこで、証券Aと証券Bを組み合わせたポートフォリオのリスクとリターンは、もしそれぞれが逆に値動きをする傾向が強ければ、曲線ABのU字型曲線で示されます。

A点からB点に進むにしたがって、証券Aの投資割合が少なくなり、証券Bの投資割合が高くなります。

お気づきかと思いますがC点ではリスクが最小となります。C点は証券Aよりもリスクが低く、かつリターンが高くなります。曲線ACの部分は、同じリスクであってもより高いリターンが達成される曲線CBの部分に代替え可能です。したがってポートフォリオは曲線CBの中から最適な組み合わせを考えれば良いのです。

最適な選択はそれぞれ投資家のリスク許容度に応じたものになります。とにかくリスクを極力少なくしたければC点、リターンを極力多くしたければB点でB証券に100%投資をする、それぞれのバランスを取りたければ例えばD点など。ここでは少なくともA証券に100%投資をするという選択肢はありません。

お解りになりましたか?これが現代ポートフォリオの基本的な部分です。要するにリターンを確保しながらリスクを抑えるためには、複数の証券に投資をする方が効率的。かつ、その方が単独の証券を保有するよりリスクが低くなるということが可能になります。

リスク許容度は、個人の場合、総資産額が多い人ほど高いと言われています。10億の資産が1億になったところでとりあえず食べていくことには困らないでしょうが、来月の20万円の生活費が2万円になったら困りますね。この他に個人それぞれの嗜好も有ります。「預金通帳の残高が毎日増えていくのを眺めることが生きがい。少しでも減ると生きる希望を失う!」そういう方は、資産が有ってもリスクのある資産に投資をしてはいけません。
  • コメント: 0

関連記事

  1. FPへ相談できること【2016年 第1回】

  2. 石油精製施設 【2016年 第3回】

  3. 年代別FP相談30代【2016年 第5回】

  4. 先進医療の現状 【2016年 第4回】

  5. キャラ別マネープラン ③SUN編【2015年 第5回】

  6. 超高齢社会における介護の現実高齢化の進む日本【2013年 第3回】

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。