【2008年 第12回 田舎暮らしのホントのトコロ 「第2の夕張市はどこか?」】地域コラム 中国・四国
キムラ ミキ
「夕張市」と聞いて、皆さんは何を思い浮かべるでしょうか?夕張メロン?それとも幸せの黄色いハンカチ(笑)?いやいや、最近の夕張市のトピックスといえば、まだ記憶にあたらしい「財政破綻」です。しかし、自治体が財政破綻する…とはどういうことなのでしょうか?
夕張市は2006年6月に財政再建団体の申請」を申請し、国の管理の下で建て直しを図ることとなりました。
夕張市は、かつて、炭鉱の町として栄えていましたが、石炭産業の衰退に伴って炭鉱が相次いで閉鎖されたことで、市の財政も厳しくなりました。
その後、観光産業により一時、市の財政も落ち着きを見せていましたが、多額の資金をつぎ込んで次々と収益性に乏しい観光施設の建設や買収を重ねたり、無理のある整備事業等を行ったり…と収支を一切無視した財政運営を行ったために、財政破綻を期してしまいました。
自治体の財政破綻は、民間企業でいえば「倒産」にあたります。とはいえ、民間企業のように消えてなくなることはありませんし、消えてしまってはその自治体に住んでいる人が途方にくれてしまいます。
そのため、財政破綻をした自治体は、財政再建団体として認定を受けて、国の厳しい管理下で再建を図っていくこととなります。具体的には、自治体が財政再建団体と認められると、一定年度内に歳入と歳出が実質的に均衡するように再建計画が作成されます。
地方自治体も、地方財政について議会で審議して予算を立てることで、地方自治を行っていくわけですが、財政再建団体となると、国から財政支援等を受けられる一方、極端な話、文房具一つ買うにも国にお伺いを立てなければならない状況となってしまいます。
つまり、十分な行政サービスを望めない可能性が高い…ということにつながることも考えられます。
定住を見据えて田舎暮しを検討されている方は、その地域の財政事情についても目を配っておく必要があるでしょう。豊かな自然を求めて田舎暮しをスタートしたのはいいものの、必要な行政サービスを十分に受けることができない状況となってしまっては問題です。
また、自治体が財政再建団体となったということは、ある期間内に自治体が抱える膨大な借金の返済計画があるということですから、税金等で住民に負担を生じさせる可能性もゼロではありません。
とはいえ、現状、豊かな財政を有しているところはほんの一握りでしょう。それでは、どうすれば、行政サービスに不安がない田舎暮しの場所をみつけることができるのか?
その目安となる調査として、総務省が今年の9月末に「平成19年度決算に基づく健全化判断比率・資金不足比率」を発表しています。
これは、自治体の財政指標を表すもので、「行政の一般会計だけではなく、病院などの特別会計も合わせた全会計での赤字の重さ」を示しています。
この結果を自治体に示して、財政健全化への自助努力を促すのが目的です。
あくまでも、「どんな田舎暮しのスタイルを希望するのか」というポイントが再重要ですが、そのスタイルを安心して継続できる場所かどうか?コスト面で対応できるか?を検討する参考として、自治体の財政状況についても留意しておくということは今後必要になってくるように思います。
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