商品に投資する投資信託・後編【2012年 第8回】

【2012年 第8回 商品に投資する投資信託・後編】若者&奥様のための「商品投資入門」

三次 理加(ミツギ リカ)プロフィール

 

今回は、商品に投資する投資信託の中で、証券取引所に上場され、売買されるETFについてご紹介しましょう。ETFは、上場株式同様に売買することができ、一部を除き、税制も上場株式と同様です。また、数千円から数万円程度と、少額から売買ができるため、比較的手軽な商品投資のひとつであるといえるでしょう。

ETF(Exchange Traded Fund=上場投資信託)

ETFとは、Exchange Traded Fundの略です。株や債券価格等に連動する投資信託で、その名の通り、証券取引所に上場されているものをいいます。裏付けとなる資産が信託銀行に保全される、という特徴があります。そのため、一部を除き、信用リスクがありません。

貴金属商品のほか、貴金属、穀物、原油などの商品指数を投資対象とするETFは、東京証券取引所に26本、大阪証券取引所に4本上場されています。(2012年8月6日現在)

商品ETFの代表ともいえるのが、金ETF。世界の証券取引所に上場されている金ETFは、残高に応じて金現物を購入し、銀行に保管する、という仕組みになっています。金ETFの残高増加=金需要増大となるため、金価格の長期的下支え要因となっています。図表1をご覧いただくと、ドル建ての金価格と世界の金ETF残高の推移が連動していることがおわかりいただけるでしょう。

 ETFは、現物型・リンク債型・デリバティブ型に分類することができます。貴金属に投資する現物型ETFの一部は、一定条件を満たせば現物と交換することが可能です。リンク債型は、償還価格が特定の指標に連動するよう設定されたリンク債(仕組み債)等を投資対象とします。そのため、他ETFと異なり、リンク債等の発行体の信用リスクがあります。つまり、発行体の倒産や財務状況の悪化等の影響を受けることがある点に注意しましょう。

たとえば金ETFとひとくちにいっても、金現物を実際に購入するETF、海外の金ETF、金に連動する債券に投資するETF、金先物に投資するETFと様々あります。金現物を実際に購入するETFであっても、現物と交換することはできないものもあります。投資する前に、ご自身の投資目的と照らし合わせ、内容を確認するようにしましょう

ETN (Exchange Traded Note=指標連動証券)

「投資信託」ではありませんが、商品を投資対象としているもので、ETFと同じように取引所に上場され、売買することができる金融商品があります。それは、ETNです。ETNは、Exchange Traded Noteの略で、その名の通り、償還価額が特定指標に連動する「債券」をいいます。債券の満期が到来すれば償還され、上場廃止となります。その際、償還金は償還価額で計算されます。

ETNは、2011年8月23日に国内で初めて上場された、まだ新しい金融商品です。現在、東京証券取引所に、貴金属や穀物、畜産物などの商品指数を投資対象とするETNが8本上場されています。(2012年8月6日)4千円~8千円程度の少額から投資できますので、ETF同様、比較的手軽な商品投資のひとつであるといえるでしょう。

ETNは、裏付けとなる現物資産の保有を必要としないため、従来は組成が難しかった指標を対象にすることができます。半面、信用リスクがあります。 つまり、債券発行体の倒産や財務状況の悪化等がETNの価格に影響を与えるおそれがあります。ETNに投資する際は、発行体の信用リスクに留意しましょう。

なお、国内ETNは、海外ETNをJDR(=Japan Depositary Receipt、日本版預託証券)化したものです。JDR化というと少し難しく感じるかもしれませんね。簡単にいうと、外国証券口座を開設せずに、内国証券同様、通常の証券口座で上場株式同様に取引ができる、ということです。現在、上場されている商品ETNは、全て海外ETNのため、直接的に為替リスクがある点には注意が必要でしょう。

ETFやETNは、少額で多様な商品・商品指数に投資することができるため、分散投資に適した金融商品であるといえるでしょう。

次回は、商品ファンドについて紹介します。お楽しみに。

  • コメント: 0

関連記事

  1. 「地球温暖化」を考える(3)【2008年 第8回】

  2. 「地球温暖化」を考える【2008年 第6回】

  3. 長期化しそうなエジプトの反政府活動【2011年 第2回】

  4. 相続・贈与のエトセトラ⑨~亡くなった人の所得税の申告は?~【2011年 第9回】

  5. 「最近の労働事情」【2012年 第11回】

  6. 2012年の経済の動き 【2013年 第1回】

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

コメントするためには、 ログイン してください。