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テーマ別コラム 資産運用
執筆者:
大山FP事務所 大山 潤 氏
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第10回
ドル・キャリートレードの時
大山 潤 氏
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この記事を書いている時点で、ドル円が90円を割り込み89円台に突入しています。2月12日以来、約7か月ぶりの円高ドル安水準となります。ドルの下落は対円に限らず、そのたの主要通貨にも共通した動きです。
このようなドルの動きを説明する要因の一つとして、「ドル・キャリートレード」が挙げられています。
キャリートレードでは、通貨間の金利差に着目し、金利の低い通貨を調達して、金利の高い通貨を買います。金利が低いということは、資金の調達コストが低い(安い)ことを意味します。低金利通貨を売って、高金利通貨を買うことで、2つの通貨の間の金利差が得られます。逆に低金利通貨を買って、高金利通貨を売れば、金利差を支払うことになります。
今回の金融危機以前の数年間に、世界的な円安(特に高金利通の代表格である豪ドル・NZドルに対して)を演出した主役である「円・キャリートレード」については、ご存じの方も多いことでしょう。当時、海外の新聞でも、円を売って外貨に投資することでスワップポイント(上記の金利差に相当)を稼ぐ主婦が「ミセスワタナベ(or着物トレーダー)」としてクローズアップされました。
このキャリートレードに使われる通貨(世界でもっとも安く手に入る通貨)が、金融危機以前の「円」から、金融危機以降から現在のところ「ドル」となったようです。
金融危機以前は、格安(低金利)通貨として世界中でリスク資産への投資に使われた円は、金融危機以降、一気に逆流(円高)します。逆流の動きは特に豪ドルのような高金利通貨ほど大きなものでした。今年に入り、ユーロと豪ドルは円に対して高くなりましたが、ドルは一貫して下落し続けています(図1参照)。
図 1 円に対する米ドル・ユーロ・豪ドル(過去5年間)
青:米ドル、赤:ユーロ、緑:豪ドル(下に行くほど円高、上に行くほど円安)
ドルを中心にみると、ドルは金融危機以降円に対しては弱含む一方で、ユーロと豪ドルに対して強く(資金が米国に逆流)なりました。今年に入ってからは、これまでのキャリートレードの主役であった円だけでなくユーロ、豪ドルのすべてに対して安くなっています。(図2参照)
図 2 米ドルに対する円・ユーロ・豪ドル(過去5年間)
青:円、赤:ユーロ、緑:豪ドル(下に行くほどドル高、上に行くほどドル安)
現在のところ世界最安通貨(※)となったドルの立場がこのまま継続するようであれば、「ドル売り/高金利通貨買い」のポジションが積み上がり、そのポジションが膨らむほど、またドル最安の期間が継続するほど、金融危機以前の円・キャリートレードが演出したような影響も想定しておいた方がよいかもしれません。
実際、日本の低金利政策そして円・キャリートレードは、日本だけでなく世界中の金融市場にジャブジャブに資金を供給し、バブルの成長を促進する役割を担っていたのですから。
※ここでいう金利は、3か月物ロンドン銀行間取引金利(LIBOR)。
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