ファイナンシャルプランナーなどの専門家ネットーワーク「マイアドバイザー」

コラム

エリア別コラム - 地域:全国平均

2012年 第8回 相続
高橋 佳良子 

政府がどのように税制を実施しようとしているかがわかるものに「税制改正大綱」があります。2011年の「税制改正大綱」に入っていながら棚上げになっていた「相続税の基礎控除の引き下げ」や「相続税の最高税率の引き上げ」について、新たに2011年11月末に発表された「社会保障と税の一体改革」に盛り込まれましたが、2012年も棚上げとなりました。

■変わりそうで変わらない相続税と超高齢相続の実態

 

 もし、相続税の税制改正が行われれば、遺産が自宅と預貯金程度でも相続税が課税される可能性が出てくることから今後の動向が気になるところです。

 また、相続税の税率がアップすることで、既に相続税がかかるご家庭では、今以上に税金がアップしてしまうと懸念されており、資産家たちの心配はもとより、関連業界では虎視眈々と増税によるビジネスチャンスを伺っています。

 

■相続税が課税される被相続人(死亡者)は約4 %以下

 

 では、この税制改正が私たちの相続にどのくらい影響があるか見てみましょう。

 まず、現在、相続税を支払うご家庭がどのくらいなのかを見てみましょう。

 下記の表から、死亡者数に対する相続税の課税件数の割合がどれくらいかをみると、平成21年は4.1%です。つまり、実際に相続税の課税があった被相続人(死亡者)の数は100人のうち4.1人ということです。そして、この課税があった被相続人(死亡者)1人に対する法定相続人の数は、平成21年で3.13人ということになります。

 現在の日本では、相続税がかかるお宅は100件中約4件で、その1件に対して3人の相続人が相続税を納付したということになります。

 

 

 では次に、いくらくらい相続税を支払っているのでしょうか?

 下記の「被相続人1人あたりの相続税額」をみてみましょう。

 平成21年の相続にかかる課税価格の合計は約10.1兆円で、被相続人1人あたり約2.2億円、これに対する相続税は、納付税額の合計が約1.2兆円で、被相続人1人あたりの相続税納付額は約2,500万円となっています。

 

 

 

 

 

<財務省「相続税、贈与税など(資産課税等)に関する資料」/平成24年4月末現在>

 

 

■相続税の基礎控除が引き下がるとどうなるのでしょうか?

 

 相続税を計算する際には、相続財産から「相続税の基礎控除」を引いて課税価格を計算します。この課税価格が、実際に相続税を計算する際に元になる価格です。よって、相続税の基礎控除が下がれば、その分相続税の課税価格が増えるので、相続税が増えることになります。

 

 

 

  現在の基礎控除は、「5000万円+法定相続人の人数×1000万円」ですが、今後、相続税の基礎控除が引き下がるとどうなるのでしょうか?

 下記で、現在の基礎控除の額と改正案(引き下げが行われた場合の控除額)、そして税率を見てみましょう。

 

 

 もし今後、改正案通りになれば相続税額は以下のようになります。

 

 

いかがでしょうか。

特に、配偶者のいなくなった二次相続では影響が大きくなります。税収の少ない日本ですから、今後の改正の確率は高いでしょう。相続税がかかることがあらかじめ分かっている場合には、何らかの対策を講じておくべきではないでしょうか。

今後の動向を注意深く見守りたいものです。

 

■超高齢相続の実態とは

 

 政府により、高齢者から若い世代への贈与対策が毎年講じられていますが、理由はこんなところにあります。ずばり、長寿社会の弊害です。下記の「相続税の申告からみた被相続人の年齢の構成比」を見てみましょう。

 

 平成10年までは、被相続人(亡くなった人)が80歳以上の相続は半分以下の約47%でしたが、10年後の平成20年には約60%以上が80歳以上での相続発生となりました。その結果、どういうことが起こったかというと、相続によって財産が移行する年齢が高齢化したため、せっかく相続による財産移転があっても世の中にお金が出回りにくくなったということです。

 

 

 相続が比較的早く発生すると、財産が40代くらいまでの若い相続人に移行するので、相続人達はマイホームの取得や子どもの教育費など、現役世代に必要なイベントにお金を使うことができます。しかし、相続の発生が遅くなると、財産を受取った相続人自体が高齢化しており、お金を使う機会が限られ、世の中にお金が出回りにくくなってしまうわけです。

 

 今後は、贈与などで早めに財産移転を行い、子育て期の必要な時期にお金が手元にあるとお金が使いやすくなります。その為には、贈与のシステムを更に使いやすくすることも課題の一つです。

⇒高橋 佳良子のコラム一覧へ

厳選されたFPや専門家達のコラム連載中!!一覧を見る

新着情報

2018.09.10
セミナー情報 【実務家FPによる CFP®試験対策講座(金融)】、【実務家FPによる CFP®試験対策講座(不動産)】 をUPしました。
詳しくはコチラ
2018.09.06
北海道で発生した地震の影響により被害を受けられました皆さまに、謹んでお見舞い申し上げます。
2018.09.05
台風21号の影響により被害を受けられました皆さまに、謹んでお見舞い申し上げます。

過去のコラム

My Adviserについて

インフォメーション