ファイナンシャルプランナーなどの専門家ネットーワーク「マイアドバイザー」

コラム

家計コラム - 遺言を書く

2011年 第7回 こんな遺言はトラブルのもと① 寄与分について
マイアドバイザー®事務局 株式会社優益FPオフィス 

親孝行だった長男と、家に寄り付かなかった次男・・同じ相続分にしてよいの? 実質的に公平な遺産分割実現のためにも、知っておきたい寄与分の考え方。遺言でできることとは。

● 寄与分とは

遺言を書くときに配慮したいことの1つに「寄与分」があります。

 

寄与分というのは、相続人が遺言者のために長年看護をしたり、財政的な援助をして家業のピンチを救ったなど、遺言者の財産の維持や増加のために貢献した分を、その人の本来の相続分とは別に追加の財産を与え、他の相続人との不公平感をなくすという制度です。

 

たとえば4,000万円の遺産があり相続人が子ども3人の場合、相続人のひとりAさんに400万円分の寄与分が認められれば、寄与分を控除した3,600万円が相続財産とみなされます。

 

これに法定相続分の割合を乗じて求めた各人の相続分は一人1,200万円。Aさんについては寄与分400万円分を加算した1,600万円が相続分となる、というのが寄与分の考え方です。

 

●  寄与分への配慮がないと・・

寄与のあった相続人となかった相続人を全く平等の相続分にするというのでは不公平になるため、争いが起きやすくなります。

 

「ずっとお父さんの看病をしてきたのは私ひとりなんだから、差をつけてもらってもよいはずよ!」

「親の面倒を見るのは当然でしょ?相続財産は均等に分けるべき!」

「あの時俺が資金援助しなかったら、親父の店は倒産してたよ。その分は認めてもらわないと!」

 

寄与分を配慮しない遺言を書いたばかりに、四十九日の法要の席上でこのような会話がささやかれることになってしまうかもしれません。

 

●  寄与分とは、相続人が決めるもの

寄与分は、民法で定めのある(904条の2)、法的に保証された制度です。

しかし遺言者が遺言で決められるものではありません。寄与分は民法の「遺言事項」と定められていないため、遺言に書いても法的な効果は生じないからです。

 

寄与分は相続人同士の協議で決めるか、協議が調わない、あるいは協議ができない場合には家庭裁判所に調停を申立て、それでもまとまらなければ審判で定めてもらうことになります。

 

具体的には次の4つの事項が寄与分にあたるとされています:

ア 故人の営む事業に関して労務の提供をした

イ 故人の営む事業に関して財産の提供をした

ウ 故人の療養看護に努めた

エ その他故人の財産の維持または増加に特別の貢献があった

 

この4つに当てはまりさえすれば何でも良いというわけではありません。遺言者につきっきりで看護したために本来なら必要なはずの訪問看護の費用がかからなかった、などのように遺言者の財産の維持や増加について「特別の寄与」と評価される程度のものであったかどうかがポイントです。

 

単に親の面倒を見たとか、妻が夫の生活の世話をしてきたなど、民法上の扶養義務や扶助義務の範囲内とされるものについては特別の寄与と認められません。

 

寄与分については、相続人全員が同意することが必要で、一人でも反対すれば認められないのが原則です。特別の寄与の判断は難しい場合が多く、それぞれの言い分を主張し合えば話し合いはまとまりにくくなります。

 

家庭裁判所に持ち込んで寄与分が認められた場合でも、その金額は遺産全体に対して1割~2割以下であることが多いようです(2009年司法統計年表による)。

 

●  遺言で、配慮はできる

寄与分の指定ができなくても、遺言でできる配慮はあります。

 

貢献に報いてあげたい相続人に多めに財産を配分することは、遺言で可能です。

 

なお、寄与分を主張できるのは法定相続人のみですから、相続人以外の人、たとえば献身的に介護してくれた長男の嫁に寄与分は認められません。

 

妻の寄与は夫の寄与であると同一視され、考慮されうるケースもありますが、このような場合にはあらかじめ遺言で長男の遺産の配分を多めにしたり、あるいは嫁に遺贈という形で財産を与えると決めておくのがよいでしょう。

 

この配慮がない場合には、相続人全員が感謝の気持ちを持って財産分けを認めてあげなければ、嫁の献身が報いられることはありません。

 

法的効果が生じなくても、いつ、誰からどのような寄与があったかという事実や、それに対する遺言者の評価、このように取り計らって欲しいという希望を遺言書に示しておくことは相続人間の話し合いや家庭裁判所での審理の際の判断材料の1つになりえる、という意味では意義のあることです。

 

不正確であったり、公正さを欠く内容とならないよう慎重に書く必要はありますが、生前の感謝の気持ちを表すひとつの方法として、遺言に書く際に考えてみるポイントのひとつだと言えるでしょう。

⇒マイアドバイザー®事務局 株式会社優益FPオフィスのコラム一覧へ

厳選されたFPや専門家達のコラム連載中!!一覧を見る

新着情報

2019.01.15
【講演会のご案内】
登録メンバーの 佐藤益弘氏 が、2月8日(金) に 毎日新聞主催 朝日新聞後援「今考えたい!後悔しない土地活用 賃貸住宅経営のリスクと対策セミナー」にて講演を行います。
2019.01.01
【新年のご挨拶】
2019年・・・あけましておめでとうございます。
今年も宜しくお願い致します。
マイアドバイザーもサイト誕生から14年(現在の体制になり12年目)になりました。
今年は元旦より、運営者である㈱優益FPオフィスの佐藤益弘氏が朝日新聞の誌上にてコメントをの弁させて頂いております。
今年のテーマは「変化」です。出来るだけ早く新たなフィールドに進めるよう精進しますので、ご期待下さい。
今年も変わらぬご愛顧をよろしくお願いいたします。
2018.12.29
【年末のご挨拶】
2018年・・・今年1年、マイアドバイザーをご愛顧いただき、誠にありがとうございました。感謝申し上げます。
今年はマイアドバイザーにとっては、熟考し、正直あまり動く事ができなかった一年でした。
そんな中、総PV(ページビュー)数が「4,000万PV」に達成し、また、閲覧総数(ユニークユーザー数)も700万人に達成することができました。
SEO対策などweb上の誘導施策を行わず、地道に「顧客利益優先」原則に基づき、実務家FPの活動をしてきて、12年。
登録者の入れ替わりが進む中、倫理面が重視される昨今の世の中で、多くのみなさんに支持頂いているようで、感謝の言葉しかありません。
そんなマイアドバイザーですが、来年以降も変わらぬご愛顧をよろしくお願いいたします。 また、来年!
マイアドバイザー運営者 株式会社優益FPオフィス 佐藤益弘

過去のコラム

My Adviserについて

インフォメーション